着たい願望が紬を生み出す【前編】
和を想う ~池田社長ブログ~
絹は最高の贅沢品
大島紬、結城紬などなど、○○紬と呼ばれる着物はたくさんありますが、そもそもなんで『紬(つむぎ)』と呼ばれるでしょうか?
それは糸を紡ぐ(つむぐ)から。
その昔農家は家で蚕を飼い、蚕に白くて丸い繭を作らせました。繭の表面の糸口をみつけて糸をたぐれば、神々しい光沢で、手に吸い付くように柔らかい『絹糸』を取り出すことができました。絹糸で織り成した着物は、光沢、肌触りともに、着る人を魅了しました。
しかし絹は最高の贅沢品であり、農家の人々は、絹を作るだけ。着ることは許されませんでした。「いつか、わたしたちも絹を着たい!」そんな願望が紬を生み出したのでした。
絹の原料の繭ですが、なかにはくず繭といって、使い物にならない繭もありました。このくず繭こそが、農民たちの夢を叶えるまさに糸口となったのです。
このくず繭の糸をつなげて(紡いで)できたのが紬の糸でした。この糸で作られた着物を『紬(つむぎ)』と言い、現代でも多くの人に愛される着物となったのです。